<< カムストック第五十二談 「めくるめく日々」 第二週 | main | カムストック第五十二談 「めくるめく日々」 最終週 >>

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

at , スポンサードリンク, -

-, -, - -

カムストック第五十二談 「めくるめく日々」 第三週

前回、前々回より続きです。
二月最大の難関、激動の第三週レポート。
何でこんなものを延々と書いてるかというのは前の文章を参照してください。

二月十五日(日)
Bチーム「大和小泉式部日記」の稽古を久しく見ていない。
タイミングが合わないことに加え、主役級がはっきりしているので、
その人達が風邪でもひくと稽古にならない。
このチームは平日昼活動で主に主婦達で構成されている。
子供連れのお母さんもいて、稽古場にはいつも子供が走り回っている。
今日久しぶりにじっくり見れるかと思ったが、主役陣が病欠ということで、
通しとかを確認することはできなかった。
結構多彩な年齢層で衣装もきらびやか、話も一番とっつきやすい。
大丈夫だろうとは思っていたが、ここへきて稽古不足が心配。

進行考えると、各班の芝居を十七分に揃えるという条件が出てきた。
これより早くても遅くても他のチームに迷惑がかかる。
約二十分でなく十七分という細かい刻み方が、このイベントの時間の問題のシビアさを物語っている。予想できない客の移動時間にくわえて、バラシをやるために極端にマチネが終わってからソアレまでの時間が短い。下手するとソアレ開演時間にマチネが終わってないという事態が起こりうる。そんなこんなで何としても十七分を狙っていくこと。芝居をそんな分刻みで確定させるということはかなり正確に作って演じないといけないことになる。その点、Bチームはセリフも段取りも安定してないので非常に心配。平日稽古なので直前に集中して稽古できることが救いだが。

今日もまた午後は結局Cチームの仕上げに加わる。
半分くらいの参加者だったが、懸案だった男勢の殺陣シーンを作る。
最初は自分らで適当にやっていたのだが、汚いし、危なっかしい。
すぐに力んで思いっきり刃合わせとかやって小道具折ってしまったりして危なっかしい。
しょうがないので殺陣なんて作ったことないけど、URASUJIで殺陣担当の森貞とディスカッションして作ってきた経験をフル動員して、汗だくになりながら何とか簡単な殺陣らしきものをつけた。
ちゃんとした武士じゃなくて農民兵みたいなものだったので、何とかなったのかもしれない。

本当に劇団の公演以上にフル稼働である。

夕方になって劇団員四名奈良入り合流。
明日の現地稽古来れないCチームの人用に少し「めくるめく宴」の稽古をする。
しかしこれはもはや現地でやらないとほぼ意味がないので早々に切り上げる。

夜の稽古はA、D両チームだが、
なかなか揃わなくて始まらない。

しょうがないので劇団員だけで小さい部屋に入り、最後の芝居のセリフ練習。
ゴリアテの和室稽古を彷彿とさせる和室にての細かいダメだし稽古。

Aチームが揃って通しができるというので、劇団員みんなで見る。
新しい選曲がしっくりきていて何とかかすかにゴールが見えた気がする。
しかしまだまだ適当にやってる部分が多くて安定しない。
そして音響が決まらないのでずっと俺がやっている。
その後もつきっきりで十時まで。

稽古終わって劇団員をワタミ接待。
初見のAの話は面白かったと言ってたので少し安心。

二月十六日(月)
今日は情報館の休館日。
例によって朝十時から最後の芝居「めくるめく宴」のエンドレスな通し稽古。
ところが館内に業者が入って大規模に掃除していて騒音がひどい。
しょうがないからそれでも気にせずやるしかない。

例によって少しづつ人が増えてくるのは先週と全く同じ。

クライマックス、ツキガセタナモに飲み込まれた人が次々と黒マント姿に早変わり変身していくシーン。黒マントがまだ人数分できてないのでなかなか練習できません。あと黒仮面、福耳とこの三点セットで本番なんですが、間に合ってなくてそこのシュミレーションが完璧にはできない。
それでもひたすらエンドレスに通し稽古。
そして夜には各チームにまた分かれての稽古。

十二時間ぶっ通し。
心地よき心底の疲労。
先週と全く同じ。

でも芝居は確実に見えてきた。
これはいける。
一週間後はリハ。

二月十七日(火)
五時起き
六時近鉄
七時新幹線
例によって爆睡しつつ頭切り替える。
今日からが本当にきついスケジュールになる。

まずはこの日、朝十時半からENBUゼミ松村クラスの授業。
新幹線が米原あたりの雪で徐行したので少し到着が遅れ、
ENBUゼミに少し遅れるかもって人づてに連絡入れたら、
行った時に、雪ですか?ってやや怪訝な顔で聞かれた。
東京は快晴だったから。
新幹線ってことが伝わってなかったのかも。
電車遅れた、雪で、じゃあ、何か嘘の言い訳みたいだからねえ。

へとへとになりながらこのタイミングで授業。
ちなみに今週金曜日がゴリアテの初日である。
しょうがない。ここしか入れるスキがなかった。

ENBUゼミでは三月の卒業公演に向けて、作品づくりにスパートがかかり始めている。
実はここでも題材は奈良と同じテキスト。
あらすじだけを書いたプロットを渡し、シーンを作って、台本も作っていく。
奈良と同じ作り方。
この日は一月末以来の授業。
宿題であるシーン発表を見ながら、
同じテキストでも全然とらえかたが違って、百八十度違う演劇になるところが面白い。

ただこちらも三月の公演はすぐなので悠長に楽しんでばかりもいられない。
現実的に作っていく手順を話しながら公演稽古スタートへの緊張感をあおる。

しかしこの「めくるめく図書館」は我ながらいいテキスト。
戯曲にしなかったことがこんな形で効いてくるとは思わなかった。

ENBUゼミナール版のタイトルは「千三百回忌」に決定。

午後からはあの遠い狭い公民館で「ゴリアテの首」稽古。
本番まで三日。
仕上げ段階なのに、栄治郎の後半電池切れが甚だしい。
昨日まで奈良にいた連中ならまだしも。
何もしてないおまえが何?って話。
やっぱり食ってないからだ!という結論。

亀がこれ全く同じ光景を一週間前にここで見ました。と。

みんな疲れている。
俺も疲れているが、何かもうそんな段階を越えている。

そういう部分が栄治郎にはないんだよな。
馬力というか、底力みたいなものが。

そこが見ていていらいらするんだよな。

たっぷり通しして終了。

二月十八日(水)
今日も朝からENBUゼミ。
基本は話し合わせて自主稽古させて、できた段階で見て口はさむスタイルなんで、
待っている時間が多い。
楽は楽なんだけど、卒業までのスケジュール考えるとうかうかしてられない。
ENBUゼミのヤツらも奈良とどっこいどっこいのほぼ素人。
むしろ都会にいるだけ、時代劇とかに全くイメージがないように思える。
このままで間に合うように作っていけるのか?
心配しながら次の三月二日の授業までに、やや重荷すぎる宿題をだしておく。
でもやらないと間に合わない。

午後からはもちろん「ゴリアテ」。
このタイミングで狭い和室稽古。
締まらない。

でもまあ芝居は安定してきてる。

あとは細かいところでいかにとりこぼさずにとっていけるかだ。

気分が乗ってれば十分面白いはず。

俺もセリフ覚えたし。

でもあくまで笑いを求めてきたお客さんにどう受け取られるかは不安。

夜中、半分徹夜で明日の仕事に備えてビデオをチェック。

二月十九日(木)
いろんな場所で公言してるとおり、僕はプロレスファンの演劇人。
でも最近は忙しさにかまけて会場にも行けてないし、週刊プロレスも東スポもチェックを怠っていて少し遠ざかっている。
各団体の状況もここ一年くらいはそんなに把握していない。

デスマッチで有名なプロレス団体「大日本プロレス」が演劇とプロレスを融合した「リア王」を横浜赤レンガで上演したことも知らなかった。

今日は朝一からその模様を収録したシアターテレビジョンの映像にのっける実況解説を録りにスタジオへ。
この多忙の中、ちょっとしんどいと思っていた仕事だったが、
昨晩映像をチェックしてその内容に感動。
早送りですますつもりが、じっくり二時間強見てしまった。

そんな感じなので、一転楽しみに。
実況解説の相棒は今林。
子供ができてから鎌倉の方へ引っ越していて会うのも久しぶりである。
すっかり演劇村の人というよりプロレス村の住人になっている今林とともに実況解説スタート。

中身は「リア王」の筋を追いながら、三人娘が三人息子になっている。
争いあうところがいちいちプロレス試合になる。

リア王役はグレート小鹿。この大日本プロレスの社長である。
老いた王を疎んじる息子たちと国を憂う王の関係が、社長とレスラーの関係とだぶっていてリアル。
小鹿社長の訛りのきついしゃべりとモーガンフリーマンのような容貌も秀逸。

ラストの六人タッグは十八番の蛍光灯デスマッチ。
血まみれのリングと舞散るガラスが戦いの壮絶さをこれでもかと醸し出し、
リア王の物語が大日本の現実とかぶさり、国を憂う気持ちがプロレスへの情熱にだぶる。
虚実の反転、これぞプロレスの醍醐味。
戦いという本来は醜い人間の所業が、戦うことで見えてくる希望という視点に移り変わることで、グロテスクなメイクや血の色さえ美しいものに見えてくる。

こんなシェイクスピアをはじめて見た。
大劇場でフェンシングみたいなので戦ってるシェイクスピアとは全然違う。
「血が流れた」
みたいなセリフが多いシェイクスピア作品の中で、
これだけ本当に血を流した作品があっただろうか。
目を背けるような戦い。それが本当の戦い。
それでも愚かな戦いの末に何かの光が見えてくる。
これぞシェイクスピア悲劇の基本であり、
そしてプロレスが発するメッセージの核でもある。

何と前向きなリア王だったか。
多くの人に見てもらいたいと思った。
最後のリア王=小鹿が必死で思い出しながら、
とつとつと発するやや棒読みの、
国を愛するセリフ=プロレスと大日本プロレスを愛するセリフに声をつまらせる今林と俺。
前日ビデオで見てるのに。
今林に至っては当日会場で見ている。
なのに再び感動している。

セリフ回しなんて下手な方が気持ちが伝わる時が多々ある。
最高のリア王を演じた小鹿社長に感服。

いい仕事をさせていただいた。

そんな余韻に浸る間もなく、
午後はもちろん「ゴリアテ」最後の稽古へ。

通しに次ぐ通し。
もう飽きているくらい正確に繰り返せるようになっている。
ダメだしもほとんどなくなった。
いつもこれくらい稽古しないといけないんだと思う。
一体何回通し稽古したかわからない。

その分スタッフワークがぶっつけなのが不安。
一日の場当たりだけで銃声とか合わせられるのか…

あとはお客さんに受け入れられるかどうか。
何せ変わり種な作品。

しかし短期間でやれることはやった。
明日は名古屋入り。
そして本番。

二月二十日(金)
午後名古屋入り。
夜は本番である。

奈良までの往復が多かったせいか、名古屋で降りるのがめちゃめちゃすぐに感じる。

合計六劇団が参加するこの「笑撃革命」。
カムカムはオープニングのヨーロッパ企画に次いで二番目の登場である。
そしてカムカムの後は清水宏さん。
久しぶりに現地にて再会。
相変わらずテンションすでに高く、落ち着きがない様子。

楽屋の隣は表現さわやか。
イケテツはじめ猫ホテの面々や伊藤明賢らとこちらも久しぶりに再会。

近しい人がいっぱいいて、しかも遠い街で会ってることが楽しい。

到着した時にはすでに場当たりは進行している。
カムカムは一番最後。
他の劇団の場当たりなどをモニターで見ながら出番を待つ。

場当たりの持ち時間はわずか一時間。
芝居は三十分である。
そんなにきっかけもないしと初めは軽い気持ちで通しを一回やってなんて考えていたが、
他の劇団の場当たり風景を見るにつけ、それどころではないと思うようになってきた。

各劇団滞ってる様子。
そりゃそうである。
スタッフサイドとこれが初の顔合わせ。
台本が事前にいってるっきりで、ここで初めて詳細な打ち合わせをするのだ。
わずか一時間の間に。
コントって言っても、結局うちらがやるのは芝居だから、いろいろと問題はある。

カムカムの番が来た。
すでにおしている。
うちのあとは全体オープニングとエンディングのリハが入って、そして本番である。
おしているからといってうちもおすわけにはいかない。

案の定打ち合わせの不足でいろんなことが滞る。
舞台中央に掲げる賞金首の貼り紙の処理だけで半分の時間が過ぎていく。
吊るしてもらうことになりますとは事前に言ってあったのだが、
その場で方法を考える感じになっている。
セットである机イスの出し入れも予定外の一手。
小道具扱いで役者が暗転で出し入れすると知る。
暗転道線の確認、蓄光などの処理でさらに時間が過ぎていく。

ようやく作品のきっかけ合わせ。
音響、照明さんとも初めてのからみ。
照明のつりかえ、音のきっかけ説明でさらに時間が過ぎていく。

暗転セットスタンバイ含め何とかオープニングとラストだけ実際やってみて、
制限時間いっぱい。
通しやれるなんてとんでもなかった。
声量や見え方といった芝居のチェックはできずじまい。

ただでさえ不安に陥りやすい今回のメンバーがリアルに不安な顔をしている。
僕もまたこれでできるのか?というかなりの不安を抱えたまま、
オープニングとエンディングの稽古が始まる。

吊るしたうちの張り紙ポスターがなぜか下ろせなくなったようで、
全メンバーで確認するはずのオープニング映像のすごい邪魔になって超恥ずかしい。
穴があったら入りたい大迷惑。
心の中で、すいません!

で、何となくなエンディングの動きが漠然と決められた時点で、あとは本番。

かなり不安!

唯一ホッとしたのは、
清水さんが、「場当たり見る限り、すごい面白そうじゃないか」
と言ってくれたこと。

清水さんは「大自然」で同じような作りの芝居の作り方を追求した仲。
特にそこに参加していたメンツ中心の今回のメンバーに対するこだわりは相当にもっていただいてるようで、楽しみに感じてもらっているようだ。

「俺もうかうかしておれん」とご自身も気合いを入れなおしている様子。

カムカム楽屋は何やらもやっとした不安感に満たされている。

はっきり言って、僕もこの「ゴリアテの首」がウケるのかどうかわからない。

開演。

トップバッターはヨーロッパ企画。
ファーストギャグからきっちりととっていく。
会場早くも爆笑の渦。

これだと大丈夫かと少し安心。

ただ、ヨーロッパの芝居がいつ終わるのかわからないので、
早めに袖にスタンバイしすぎて変に緊張してしまう。

ヨーロッパ企画、爆笑のうちに終了。
いよいよカムカムの番である。

合間は暗転。
終わったのかどうかわからない謎の暗転に客席静まり返る。

…暗闇の中、机・イスのセッティング。役者板付き。ちょっと長すぎた暗転だが、ともかくよし!スタート!と思いきや、
そこからバトンがゆっくりとおろされる。
謎の暗転がものすごく長引いて、
???の客をあざ笑うかのように、
バトンはゆっくりと降りてくる。
その時間は僕にはまるで永遠のように感じられる。
バトンが降り切って、賞金首の貼り紙が慎重にセットされる。
次にバトンがゆっくりと上がっていく。
上がりきる。
まだしばし暗転。
オープニングの音楽がやっとなる。

この間、約五分だったろうか。
何度も言うが僕にとっては永遠に匹敵する暗闇。

冷めきった客席に向かって僕の長台詞。

全くもって気持ちが乱れている

案の定とちる。

始まる。

汗だらだら。

シーンとした客席。

ところが、
玲実がしたたかウケる。
その余波をかってみんながしたたかウケ出す

この悪条件の中、
何とか波に乗った「ゴリアテの首」

途中清水さんが笑いながら袖から見ている。

まあまあいい調子で流れていく。

ただ終盤、
出た…
栄治郎電池切れ…

ラスト僕の長台詞。
またしたたかとちる。

何とかなったのかならなかったのかわからない。

ともかく1ステージめが終了。

貼り紙撤去も同じくらい長い暗転。

そのあとは清水さん。
さすが、爆笑の渦。

終わってから、他の劇団客席で見る予定が、
それどころではなくなった。
明日の本番に備えて、
急きょ楽屋で討議して、貼り紙を吊るすのをやめる方法を考える。
皆でせっせと楽屋で貼り紙の作りかえ。

その間僕はロビーで名古屋のマスコミ取材。
アザラシ取材としては全国一番。
アザラシについて初めて詳しく人に話す。

新しい貼り紙完成。
明日は暗転を一分以内にできるはず!

エンディング。
暖かい名古屋のお客さん。

終わってからは、ホテル近くの居酒屋で交流会打ち上げ。
他の劇団の人達と話し、午前一時、明日に備えて解散と思いきや、
ヨーロッパ企画の本多とイケテツと三人で二次会へ。
もう何話したか覚えてない。

途中ヨーロッパ企画の演出上田君が合流。
僕はおすすめ劇団を聞かれれば、必ずヨーロッパ企画というくらい上田君の芝居大好き。
その上田君が飲み終わって二人でコンビニに買い物行く時に、
今日の「ゴリアテの首」が面白かったと興奮気味に語ってくれた。
西部劇なのにあえて備品の机やら使ってるバランスの妙などを言ってくれて、
まさにそれは狙い通りのことで、
その日一番の喜びを感じた瞬間でした。

明日はより頑張ろう!

何時かわからん時間に就寝。

二月二十一日(土)
今日はマチネでおしまい。
小屋入りして頻繁に栄治郎がいなくなるのでイライラする。
うろちょろうろちょろしている。
途中電池切れ問題が深刻な栄治郎は昨日も本番終わりで清水さんに注意されていたし、
僕にはキレられている。
みんなで電池切れ問題を昨日から延々話し合い、
まず今日は僕が人から教えてもらった「メダリスト」というサプリをすすめ、
朝一で薬局探し回ってみつけてきたみたい。
要はクエン酸なんだが、ちびちび袖で飲むだけで驚くほど疲労感が減る。
水に溶かしてもかなり酸っぱいのだが、
まず栄治郎は試飲して、全く酸っぱさを感じないという。
すでに異常な体だとみなで指摘。
一回粉末一袋で1リットルの水に溶かすくらいが標準なのだが、
本番始まる前に三、四袋分のクエン酸を飲む栄治郎。

「やっと酸っぱく感じるようになってきたよ」

と、ようやく人並な体内の状況になったということか。

ただ、本番直前、またちょくちょくいなくなる。

聞けば朝からそんなものを大量に飲んだせいか、おなかが痛いという。
呆れてものも言えず。

栄治郎がトイレを往復している間にミーティング。
ヤツがろくに食事をとっていないことが判明。
聞く限りカロリーもゼロなら栄養ゼロ。
食事に興味がないのと金がないということ。

そんなことでは三十九歳の役者の肉体は維持できないと同い年の俺が本人に強い説教。

急きょ制作が栄治郎の食事をチェックするブログをその場で作り、
全食事を写真でアップするように指示。
劇団全体で栄治郎の栄養摂取状況をチェックしていくという流れに。

そんな状況で本番開幕。

朝から清水さんの姿が見えない。
開演。
今日清水さんと一度も会ってない。
来てる?
とか思っていたら汗だくで登場。
昨日のカムカムの「大自然」メンツの姿見て燃えたらしく、
本番まで一人どこかにこもって気合い入れ、稽古を重ねていたらしい。
うれしい話。

うちの番が来る。
暗転は短い。
順調に始まる。
恭子が大きなミスをする。

ただ昨日よりうける。
ただ順調に進む。

袖にはやはり清水さんがやってきていて、大いに笑ってくれている。

終盤、栄治郎の息切れ多発地点もなんとか及第点で通過

終わり方も昨日の反省を踏まえてすっきり型に。
僕もあまりとちらず。

まあうまくいったんではないでしょうか。
清水さんにも結構ほめられたし。
(その清水さんは昨日以上に爆発的に面白かった)

アザラシチケットも結構売れたしね。

終演後、記念撮影でプロデューサーが泣いていた。
ここまで実現するのにいろんなことが大変だったんだろうと思う。

何か大きなことを言い出して最後までやり遂げ、成功させることは本当に難しいこと。

僕にとってはこの次に待ち受ける奈良のイベントがそれ。
何とか最後までやり遂げ、成功させなければならない。
その企画のために動いた膨大な人の人生、金銭、情熱。
すべてに報いるイベントにしなくてはいけない。
今回のプロデューサーの号泣を見て、のんびりしてられなくなった。

五時頃に撤収となる。
ゴリアテメンバーは帰京組と奈良移動組に分かれるが、
今日中に移動できれば問題ないので、
終電ギリギリまで名古屋を堪能しようということで、
皆でひつまぶしを食べに行くという。

僕は前述のとおり、本当にうかうかできなくなって、
バラシも後輩に任せて、速攻で奈良へ向かう。

今すぐ出れば、今日のA班の稽古の最後の二時間に間に合う!

ただ名古屋堪能できないのは悔しいので、
(昨日の打ち上げは比較的普通の居酒屋さんだった…)
ついに名古屋駅で、あのミソカツ最高峰、矢場とんを買うことを自分に課す。
そう。年に一回は名古屋に来ていながら、僕はいまだ矢場とん未体験だったのだ。

正確な店の場所もわからないまま、
みんなの言ってた矢場とんに関する台詞の記憶だけをたよりに
名古屋駅構内を探しまくる。
なかなか見つからない。
人に聞けばいいんだが、
この人に聞くというのが結構苦手というか、
どういうわけか今日は自力で見つけ出したいのである。

二十分近く歩きまわってとうとう長蛇の列を従えた矢場とん発見。
何だ、あの列は!と絶望にうちひしがれたが、
全部店内で食べる人で、持ち帰りは並んでなかった!
とうとう買う!
速攻新幹線に飛び乗る!
京都までの三十分ほどで速攻矢場とん!
うまい!
何で今まで買わなかったんだ!
特製ソースも買えばよかった!
うまい!
これは俺は大好きだ!

京都着、奈良への近鉄特急で頭を切り替える。
この二月何度も経験したこの力任せの思考切り替え。
これが最後である。
あとは、めくるめく図書館のみ!

奈良着、タクシーで稽古場へ!
間に合った。
Aチーム、「怪物ツキガセタナモ」の稽古中。

実は先週の奈良からの帰りの新幹線。
爆睡の夢心地の中で閃いた新シーンのアイデアがあったのだ。
他愛ない1シーンなんだけど、
それがあるだけで繋がりのスムーズさが段違いになる。
ここへきてシーンの追加は、特に若いAチームには危険だったんだけれども、
先週の、芝居がようやく固まりつつあった段階で
これは十七分に足りない恐れがあるとも踏んでいたので、
追加を決意。追加するからには一刻も早く伝えて、段取り変更に慣れさせないといけない。

そのための名古屋からの強行軍だった。
結果、やはりそのシーン足すことで、大きな流れが見やすくなった。
Aチーム相変わらずメンバーが足りないんだが、
衣装、小道具もだいぶ揃って、安定感が出てきた。
繰り返す通しの時間もだいぶ揃ってきた。
話も見えてきた。
そりゃもうそういう段階にいかなければね。

役者以外の音響さんも確保。
役者が交代にやる方向だったが、そうならないでよかった。
何せこのチームは早替えオンパレードで全員息つく暇もない。

いよいよめくるめく日々の最終仕上げが始まった。

すでにゴリアテのことを忘れながら眠る、奈良第一夜。

つづく






at 22:57, 松村武, -

-, -, - -

スポンサーサイト

at 22:57, スポンサードリンク, -

-, -, - -