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カムストック第五十二談 「めくるめく日々」 第一週

すぐ前に更新した五十一談があります。
そちらから順にお楽しみください。
滞ってたと思ったら矢継ぎ早の更新ですいません。

さて、二月最後の日から今日でちょうど一週間。

人生最大にめくるめいた激動の二月を日記風に振り返り、
そのクライマックスであった二月最後の日の感激を少しでも再現できたらと思います。
これは決して忙しい自慢ではなくて、
自分が人生を賭してやっている演劇活動というものが一体何なのか?
ということに真正面から向き合うことができた一か月だったから、
その軌跡を記憶があるうちに記しておきたいと思ったのです。
もちろんこれからも、演劇の日々、めくるめく日々は続くのだけれども、
やはり先月をもって、僕は自分で一枚大きく皮がむけたような気がします。
それは振り返ってみれば、
1997年の五月、「鈴木の大地」(初演)の一ヶ月以来の出来事かもしれません。

二月一日(日)
URASUJI「寵愛」千秋楽
前日、ライブ稽古中に発熱し、ソアレを見ずに帰って寝込んだまま、
翌朝も熱が下がらず、長く演出していて初めてのことだが、千秋楽に病欠。
翌日のライブは朝から段取り稽古、リハ、本番と怒涛の一日が予想され、
演出の欠席は許されない。声の出演もある。それに備えてのやむを得ずの病欠。
だとは言え、何とも、何とも悔しいかぎり。
「寵愛」は本当にいい芝居だった。
何度も見たくて全ステージ見るつもりだった。
土曜日の昼にはあと二回しか見れないのか…とちょっと寂しくなっていたのに、
それっきりだった。
何とも悔しい。

二月二日(月)
体調はかなり回復。よかった。
URASUJI SUPER LIVE!
前回から始まったこの最終日の特別ライブ。
一体どういう感じになるのか、どう客に受け取られるのか、
誰もわからぬままに戦々恐々と当日を迎えた去年と比べて、
ある程度の勝算はあった分、余裕はあったのかもしれないが、
やはり一日で芝居(ライブだけど小芝居形式です)
の段取り組んで、リハもすませてっていうのはやはり超強行スケジュール。
簡単な進行台本はあるのだが、各曲ごとの演出は演者任せで進行しており、
僕はそこで初めて各曲の演出を見ることになるわけで、
午前中から場当たり稽古が始まっても、段取り確認というよりは、
段取りを作り直していくような場当たりで時間もかかる。
あれよあれよと時は過ぎ、とうとうリハも終わって慌ただしく本番へ!
今回は節分にちなんで桃太郎の鬼退治ならぬ杏太郎の鬼退治。
オープニングはでっかい杏の実が流れてきて中から杏子さんが出てきて、
「目を閉じておいでよ」をぶちかましてスタート。
最後はお客さんみんなで豆まき。
URAUJIのテーマでフィナーレ。
前回同様、スズナリの熱気は凄かった・・・。
もちろん杏子さんはじめ、凄いプロの歌があの小さな空間の中、間近でガンガン聞けるわけだから、そりゃあ贅沢な出し物だが、
出演者一同感じ入るのは、本当にあのお客さんの巨大なエネルギー。
僕は前回に引き続き新感線の村木さんと最後部の照明ブースで音声解説をしてたけれど、後ろからでもそのうねりのような期待感と高揚感に圧倒されて、
なんだかお客さんに対してお客さん気分だった。
URASUJIのお客様は本当に素晴らしい!
客というものの手本だと思います。

やっぱり、やるとめちゃめちゃ楽しかった。
大変だけど、もはやURASUJIにライブは欠かせないのかも。

そしてようやく打ち上げ。もちろん朝まで。
聞けば前日の千秋楽は誰も打ち上げ気分じゃなくて、
各々分散してカラオケボックスでライブの歌の練習などしていたそうで。
URASUJIはまじめで素敵な人達が揃っているとてもいい座組みだ。
本番で手に汗握ってしゃべってるうちに大汗かいたせいか、
そのころには僕もすっかり平熱。だけれどもさすがに酒は控えたせいか、
ややテンションあがらず、おとなしめ。
信じられないような大盤振る舞いに一同驚愕の大入り袋配布が終わったころ、
翌日に仕事を控えた杏子さんからはじまり、
三々五々と順々に帰る人の流れの中で、
ひっそりと僕も帰ったのが結局五時くらいかな。

その後元気な連中は十時くらいまで飲んでたそうですが。
病み上がりには無理だった・・・すいません。

二月三日(火)
NODA・MAP「パイパー」を見に行く。
本当に最近自分の稽古ばかりで人の芝居見ないんで、
今何上演されてるのか全くわからない日々。
当然情報もまるでないんで、前知識一切なし、出演者もあまり把握しないまま、
事務所移籍して心機一転の野田さんの新作を見に行く。

めちゃめちゃ面白い。
あんなに人出てるなんて全然知らなかった。

NODA・MAPになってから一番面白く見たかも。
昔は遊民社ファンで、一公演につき三回くらい見るのが普通だったくらいに野田秀樹好きである僕も、最後に三回見たのは初演の「キル」までで、それ以降はたぶんほとんどの作品を見ているけど、二回見ようとは思わなかった。

この「パイパー」はすぐにもう一回見たくなった。
適度に謎めいて何かよくわからない。もう一度いろいろ確認したい。
脳に焼きつく新鮮な情景、言葉の展開が満載だった。
特に「パイパー」というものの存在が秀逸。
野田さんが書いたであろう意味的にも。
こずえさんの作ったであろうあの造形も。
そしてコンドルズが作ったであろうあの動き。
何と言うか、頭の中がうねる。
つられて体もうねる。
五感が未知の感覚に揺さぶられる。
これが野田作品だと思ったし、
そういうことが演劇なんだとずっと思ってきたので。

珍しく楽屋でいろいろ話したかったけど、
例によって野田さん本人にはあまり相手にされない。
偉い人とそそくさとどこかへ行ってしまった。

他の皆さんも疲れてて飲みに行く雰囲気もなく、
唯一話聞いてくれそうな宮沢りえちゃんも、
あとから聞けばそういうことだったわけですぐ帰るし、
何かモヤモヤとしたまま直帰。
周りに見た人もいないし、
何か珍しく、ひとつの芝居について語りたかったのにモヤモヤ。

まあでもここまであれを面白いって思わないのかもな。
よくわからんの嫌いな人にはそれこそよくわからん権化のような感じだったから。
ドラマがないって思うのかもしれないな。
視点の運動ってヤツが少ないとそうなるかもしれない。
あくまで野田さんを何年も追いかけてきた立場としての感想なのかもしれない。
遊民社からずっとやってる音響の近藤さんとだけちょっと話せて、
今回ちょっと昔っぽいんだよ。おまえは好きなはず、って言われた。
そのとおりです。

やはり圧倒的に凄い作品作る人だと思う。

二月四日(水)
名古屋にて行われる笑劇革命という演劇イベントに出品するための作品、
「ゴリアテの首」稽古初日。
これはいわゆるお笑いの短編芝居をひっさげて、東西から小劇団が集結するイベントで、例えばうちの他に東京からはイケテツの表現さわやか、おなじみ清水宏さん、京都からはヨーロッパ企画などなど、そうそうたるツワモノどもがネタを競うかなりうちとしてはプレッシャーが大きなイベント。

というのもうちは長編芝居を作家である僕が書き下ろすというスタイルでずっとやってきたので、繰り返し使えるストックされた短いネタというべきものはまるでないし、厳密に言うと、というか、笑いを作ることが第一義の集団ではない。芝居の中に笑いはあれど、基本はお話を見せる劇団なので、これははっきりいってかなりのチャレンジだった。他はおそらく短いネタ、芝居を組み合わせて一つの作品にしているスタイルのところがほとんどだろうから手札がすでにある。うちにはない。参加を最初はためらったんだが、名古屋では多大な恩義がある東海テレビ、テレピアホールさんからのオファーを蹴るという選択肢はありえない。

これは実にいい機会を与えてもらったと発想の転換をし、ならばと短編の新作を構想しはじめたのは昨年のはじめの頃。せっかくだからこれを逆に利用しようと、一つの世界の中での短い連作を作ろうと思った。こうして出てきたのが「ゴリアテの首」という世界観。西部劇、ゴリアテと呼ばれるとんでもない悪党を狙う賞金稼ぎ達。ほぼこれだけの設定で、三十分くらいの短編を劇団員いろんな組み合わせで作っていこう。その第一作が名古屋にて発表される。第二作、第三作も続々と暇な連中で作っていき、イベントとかで発表したりしつつ、五作ぐらいたまったら、ひとつの公演として劇場でやるのもいい。作り方は即興からの立ち上げ。随時僕がチェックしながら物語に手を入れていく。最近課題としてあった本公演稽古以外での稽古形態の基軸にもなる。何より、仕事がなくて燻っているうちの中堅層(カムレボ)が力を養える場になるのではないかと。

そんなこんなで春くらいからすでに即興稽古はスキを見てやっていた。しかしこれがなかなかうまくいかない。とりあえずの目標というのが一年くらい先という状況もあったのかダラダラとして結果が出ない稽古が続く。結局試行錯誤を重ねているうちにあっという間に時間は過ぎ本公演「ダルマ」に突入。その後は各々いろんな芝居への出演なども続き、あれよあれよと冬が来て、年越しに至ってもろくに固めることもできないままとうとう今日に至る。

いろいろ試した末に残ったのは亀岡、栄治郎、恭子、洋子、玲実。このメンバーは同じく即興から立ち上げた「大自然」そして「小軍団」でこの方法論に慣れたメンツ。藤田・八嶋ら古株の主力よりもこの作り方においては力を発揮する。

それもあってかやや放置していた面もあった「ゴリアテの首」。
いよいよこの日から二週間後に本番を迎える。
だが俺と亀岡、洋子、玲実は奈良の企画にもかぶっているので週末は不在。
回数でいえば、稽古は今日を含めて実質のべ一週館くらいである。
三十分作品とはいえ、間に合うのか?という危機感を初めて抱いての稽古初日。

台本も何もないまま即興で固めていこうとまずはエチュードの繰り返し。
あわよくば台本というものをなしですまそうと目論んでいたのだが、やはりそれでは固まるものも固まらない。はじめの展開は決まっているのだが、やる度にムラがあって安定しない。

こういう時は即断即決。
速攻で稽古を捨て、家に帰り、台本化することにした。

今までのビデオなども見ながら、何とか半分くらいできた。
台本書いたというより、膨大なエチュードの映像と記憶とメモの中から面白い瞬間をピックアップして繋げたというところ。

この時点でもはやURASUJIが遠い昔のことのように思えている…。

二月五日(木)
今日も「ゴリアテの首」の稽古。
台本を持っていって早速できてる部分の稽古。
一度本人達が口に出した言葉ばかりだが、あらためて覚えろとなると、だからこそ、むしろ全然覚えられない。

自然に出た言葉というのはそう百パーセント、意味やら理由に埋め尽くされてるわけではない。つまり通常は論理性やら意味やら、その言葉が語られる理由などを整理していくことでセリフは覚えるものだが、この台本の言葉には無意味なつながりや、論理性が間違っていたり、理由が全然ないこととかがいっぱいある。断じてナンセンスではない。そう完璧なやりとりではない会話から発生していく物語を舞台上に表現しようとしている。だから覚えにくい。
この「大自然」「小軍団」から続く方法論はこのように即興から立ち上げるだけでなく、虚構の言葉の発声にいかに演劇的に生な空気を紛れ込ませていくのかが作品のミソであり、これはそういうことを継続して追及してきた人でなければおいそれとはできない難易度A。
台本化されるともはやそれは一字一句、一瞬の遅れもミスも許されない緻密な芝居としてもう一度立ち上げなおすことになる。
みんなよくやるよ、と思うが、この日の時点では全くもって覚えられない。
役者がセリフを覚えてないと僕はいらいらすることが多い。
だったらその日の稽古に演出家が必要ないとよく怒鳴る。(劇団でだけ)

この日もそういう風に怒鳴って早々と午後に退散。
帰って続き書いて夜持ってくるからその間にセリフ覚えとけといって家に帰る。
家に近い稽古場ならではの出来事。
約束通り台本最後まで仕上げ、稽古終わり間際に戻って渡す。

とりあえず台本できてほっとした。
なぜなら明日からは奈良だから。

二月六日(金)
午後から「ゴリアテ」稽古。
基本このシリーズは公民館を渡り歩いて稽古をしている。
今日は和室。
狭い和室。
セリフを追うだけの稽古に何度も寝そうになりながら、ラストまでの段取りをつける。
ラストに僕の長セリフとちょっとしたダンス的なものがある。
それの動き合わせを、狭い和室で畳の上でやる。
何とかこれで来週から通しができそう。
少し安心して夕刻、僕だけが早退。
そのまま東京駅へ。
そして奈良へ。
奈良、深夜着。
頭を切り替えなければいけない。

二月七日(土)
昨秋以来もう何度目になるか。
これほど頻繁な奈良との往復も記憶にない。

これはすべて、この月末二十八日にたった一日だけ催される、
「めくるめく図書館」という演劇イベントの製作のためである。
これは県立図書情報館というちょっと図書館というには風変わりな図書館が奈良にあって、その巨大で最新の施設を利用して何か面白いことができないかということで、僕に相談があったことから、いろいろとミーティングを重ね、その広くていろんな光景を持っている建物の構造をまんま利用してテーマパークみたいに同時多発な芝居をしてみようと。お客さんには4グループに分かれてもらって一本20分くらいの芝居を4本、話が一つ終わるたびに館内をチームごとに歩いて移動しながら見てもらい、最後に全員のお客さんが一斉に完結編ともいうべき5つ目の芝居を見るという変わり種企画。

しかも5つめの芝居以外はすべて地元公募の素人さん達が、僕の書いたあらすじだけを元にして、台本作りから始まって、稽古も道具や衣装作りも自分たちだけで進めて一本の芝居に立ち上げるというチャレンジ企画なのだ。

始まったのは昨年九月。一般公募の前に、まずは奈良でのカムカムワークショップ経験者中心に全体を進行させるリーダー養成のためのワークショップ。ここでまず僕なりの今回の芝居の作り方を彼らに説明、伝授した上で、十月、一般公募。予想を上回る五十人以上の参加者が一堂に会して十一月よりリーダー主導による四つの班に分かれての二十分芝居の製作稽古開始。

十月Yoosoro!が終わってから十一月は奈良にはりついていたんだが、URASUJI始まるとそうもいかず、十二月下旬から一月いっぱいはほぼほったらかし。この日の時点でどれだけのものができているかがかなり不安であったが、やはり予想通りまだまだ見れるものではない。だがもはや追い込み。

この日はどうしても専門的な腕が必要な部分でアドバイスと補助をお願いしたカムカムでお世話になってる木村さんが九州での仕事の帰り道に稽古場へ。
とにかく人数が多いので、揃いで必要なものとかの作り方などを当事者と話してもらう。
木村さんはそのまま一時間くらいですぐに東京へ。

夜は稽古。
班は四つあるのだが、集まれる時間帯によって班分けされていて、
昼しか集まれないB班、土日しか集まれないC班などがある。
あとは芝居やってるヤツが多くて誰かしら本番とかで常に抜けてしまうD班。
しかし、運悪くというか、別に僕が来る日だからと言って都合よく集まれるわけでもなく、BチームもCチームも稽古なし。
夜からは夜活動のA班「怪物ツキガセタナモ」の稽古を見たが、あまり人揃わず。
いろいろと内容いじりたいのだが、揃ってなくては混乱を招く。
などとも言ってられないので、いろいろと力技の演出変更する。
しかしうまくいかない。
すぐにタイムリミット。
奈良といえども広い。
みんなが終電で帰れるタイムリミットは十時くらい。

もどかしい思いとかすかな焦りが残ったまま一日が終わる。

つづく

at 00:55, 松村武, -

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